|
「太平洋への人類の拡散」について 長文になるのでトラックバックにさせていただきます。 私の発言の根拠は、橋本萬太郎・鈴木秀夫「漢字文化圏の形成」(山川出版社 『民族の世界史5 漢民族と中国世界』所収)で、当該部分は鈴木秀夫氏が書いたものと思われます。 同書には、次のようにあります。 「中国大陸の南島の一隅に、ハワイ島とほとんど同じ発音を持った人びとがいるということを偶然の一致としてかたずけてしまうためには、あまりにも空間的つながりがよすぎると思う。中国大陸の一隅とは、貴州省などに住むトン(人偏に同)族であり、「弓」については、ハワイとまったく同じく、panaと呼んでいる。(中略) トン族はもと海岸近くにいたという説があり、マライ・ポリネシアの一族が中国大陸に進入したと考えられないでもないが、上述のように、全体としてみて、北から南への人口圧がかかっているときに、貴州省という奥部まで侵入したと考えるよりは、かつては、ユーラシア大陸にいたに違いないマライ・ポリネシア系の人がオセアニアにむかって追いだされたとき、逃げそこなって本土にとどまったものの後裔と考えることはできないであろうか。」 なお、オーストロネシア語族(南島語族)は、かつてはマライ・ポリネシア語族と呼ばれていました。 現在のトン族自身に関しては、その言語は上記 『民族の世界史5 漢民族と中国世界』の付表においても、「シナ・チベット語族」の「カム・タイ諸語」に配属されているのですが、この語族区分というのは、なかなか微妙なものがあり、きれいに区分できないものが大部分です。 「カム・タイ諸語」にしても、これを「タイ・カダイ語族」と、「独立した一語族」として区分する学説が現在では有力なようです。 しかし、言語とは橋本萬太郎などの指摘するように、何々語族ときれいに区別できるものがむしろまれで、互いにつながりあっているのであり、隣接する言語(東アジアの場合、南隣と北隣)の中間的形態を示すものなのでしょう。 とどのつまり、「タイ・カダイ語族」や「オーストロネシア語族」も、「オーストロアジア(南アジア)語族」と同様、東アジア南方系諸言語であるであることには間違いはないと思います。 その意味でも、オーストロネシア語族は元々大陸にいた可能性も大いにあると思います。 ※もっと単純に、本来、オーストロネシア語族に属したトン族が大陸に「取り残された」後、周囲のカム・タイ諸語系民族の言語的影響を受けて、言語を変化させたものとも考えられます。 参考 ・南方系言語と北方系言語 ・東アジア諸民族の南下 |
| << 前記事(2009/01/26) | ブログのトップへ | 後記事(2009/01/30) >> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
トラックバック、ありがとうございました。 |
劉公嗣 2009/01/28 18:25 |
| << 前記事(2009/01/26) | ブログのトップへ | 後記事(2009/01/30) >> |